2013年 05月 15日
監査報酬と監査時間と監査の質② |
合理的な理由なしに前年度より監査報酬が著しく減った事例は問題であ
るとの考えは、前年度の監査報酬、つまり監査時間が適切であったとい
うことが前提になっているわけですが、そもそも前年度の監査時間が適
切であったということは、検証されているのでしょうか。
『2013年度版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書』は、JICPA
のホームページに掲載されていて誰でも入手することができるので、興
味のある人は読んでもらいたいのですが、そのなかで監査報酬の日米
比較を行っています。それによれば日本の監査報酬は、中央値で米国
の48.89%、平均では米国の26.86%となっていて、この調査報告書を
とりまとめた研究者のことばを借りれば、米国の監査報酬は日本と比べ
て「圧倒的に高い」ことがわかります。
多くの場合(ほとんどの場合かもしれませんが)、監査報酬は監査時間
に監査業務従事者の時間当たり単価を乗じて計算していると考えられま
すから、監査報酬の差異というのは、監査時間および監査業務従事者
の時間当たり単価の違いによるものと考えられます。
かりに、米国の監査業務従事者の時間当たり単価が日本よりも高いと仮
定しても、それだけで、米国の監査報酬と日本の監査報酬との間のこれ
だけ大きな差異を説明することは難しいでしょうから、日本の監査時間が
米国よりも少ないのではないかと想定できます。
当然、会社の規模や事業の複雑性、それに会社固有のリスクなどによっ
て必要とされる監査時間は異なってきますから、日本の監査時間が米国
の監査時間に比べて少ないと想定されるからといって、日本の監査時間
が適切でないとは言えないことはわかります。
そうであるならばなおさらのこと、日本の監査時間は適切であるというこ
との検証を行ってもらいたいものです。
(③へ続く)
るとの考えは、前年度の監査報酬、つまり監査時間が適切であったとい
うことが前提になっているわけですが、そもそも前年度の監査時間が適
切であったということは、検証されているのでしょうか。
『2013年度版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書』は、JICPA
のホームページに掲載されていて誰でも入手することができるので、興
味のある人は読んでもらいたいのですが、そのなかで監査報酬の日米
比較を行っています。それによれば日本の監査報酬は、中央値で米国
の48.89%、平均では米国の26.86%となっていて、この調査報告書を
とりまとめた研究者のことばを借りれば、米国の監査報酬は日本と比べ
て「圧倒的に高い」ことがわかります。
多くの場合(ほとんどの場合かもしれませんが)、監査報酬は監査時間
に監査業務従事者の時間当たり単価を乗じて計算していると考えられま
すから、監査報酬の差異というのは、監査時間および監査業務従事者
の時間当たり単価の違いによるものと考えられます。
かりに、米国の監査業務従事者の時間当たり単価が日本よりも高いと仮
定しても、それだけで、米国の監査報酬と日本の監査報酬との間のこれ
だけ大きな差異を説明することは難しいでしょうから、日本の監査時間が
米国よりも少ないのではないかと想定できます。
当然、会社の規模や事業の複雑性、それに会社固有のリスクなどによっ
て必要とされる監査時間は異なってきますから、日本の監査時間が米国
の監査時間に比べて少ないと想定されるからといって、日本の監査時間
が適切でないとは言えないことはわかります。
そうであるならばなおさらのこと、日本の監査時間は適切であるというこ
との検証を行ってもらいたいものです。
(③へ続く)
by hiro_ngth_92
| 2013-05-15 20:25
| 会計