2012年 11月 27日
企業買収の難しさ③ |
また、企業(事業)の買収時に行われる資産査定をかなり入念に行うと
しても、通常の会計監査に比べれば、資産査定に充てられる時間は限
られています。通常の会計監査の実施過程で見つけられなかった不正
会計処理を、短期間の資産査定で見つけるというのは、実際には難しい
と考えられます。
これらの点を考慮すれば、資産査定が不十分であったと言い切ることは
難しいのかもしれません。
それでは、HPの経営陣には何の責任もないのかというと、そうでもなさ
そうです。
日経新聞の記事によれば、米国の大手ソフトウェア会社であるオラクル
も、同時期にオートノミーの買収を検討したけれども、提示された業績数
値に疑問を感じて撤退したとされています。
そうすると、HPの経営陣は、もしかしたらオートノミーの会計処理にはど
こかおかしいところがあるのかもしれないが、四大会計事務所のひとつ
が会計監査をしているのだから、たぶん大丈夫なのだろうと判断した。
その一方、オラクルは、四大会計事務所が会計監査をしていても、どこと
なくおかしいところがあり、あえて危険を冒してまで買収するほどの案件
ではないと判断したということなのだと思います。
このHPとオラクルの経営判断の違いの原因はどこにあったのか。
日経新聞では「短期間で交代する(HPの)CEOは「脱パソコン」の成果を
あげるため、ソフトウェアやITサービス企業の大型買収を急いだ。(中略)
オートノミー問題の根っこには、HP経営陣の焦りがあったとみられる」と
指摘していますが、まさに問題の本質をついていると思います。
今回のHPの巨額赤字計上は、「企業経営には焦りは禁物」ということを
如実に示したものだといえます。
(おわり)
しても、通常の会計監査に比べれば、資産査定に充てられる時間は限
られています。通常の会計監査の実施過程で見つけられなかった不正
会計処理を、短期間の資産査定で見つけるというのは、実際には難しい
と考えられます。
これらの点を考慮すれば、資産査定が不十分であったと言い切ることは
難しいのかもしれません。
それでは、HPの経営陣には何の責任もないのかというと、そうでもなさ
そうです。
日経新聞の記事によれば、米国の大手ソフトウェア会社であるオラクル
も、同時期にオートノミーの買収を検討したけれども、提示された業績数
値に疑問を感じて撤退したとされています。
そうすると、HPの経営陣は、もしかしたらオートノミーの会計処理にはど
こかおかしいところがあるのかもしれないが、四大会計事務所のひとつ
が会計監査をしているのだから、たぶん大丈夫なのだろうと判断した。
その一方、オラクルは、四大会計事務所が会計監査をしていても、どこと
なくおかしいところがあり、あえて危険を冒してまで買収するほどの案件
ではないと判断したということなのだと思います。
このHPとオラクルの経営判断の違いの原因はどこにあったのか。
日経新聞では「短期間で交代する(HPの)CEOは「脱パソコン」の成果を
あげるため、ソフトウェアやITサービス企業の大型買収を急いだ。(中略)
オートノミー問題の根っこには、HP経営陣の焦りがあったとみられる」と
指摘していますが、まさに問題の本質をついていると思います。
今回のHPの巨額赤字計上は、「企業経営には焦りは禁物」ということを
如実に示したものだといえます。
(おわり)
by hiro_ngth_92
| 2012-11-27 20:25
| 会計