2013年 01月 10日
ぼくの芝居放浪記 文楽大阪を去る③ |
劇場の座席数は、出語り床設置時で東京の国立劇場小劇場が560席、
大阪の国立文楽劇場が731席。年間の公演日数は、大阪の方が東京よ
りも20日ほど多くなっています。
その結果、1日当たりの観客数は2005年~2007年の平均で、大阪が
約850人、東京が約1050人(前記深澤教授の論文より)と、大阪の方が
少ないにもかかわらず、年間の入場者数では大阪の方が多いということ
になっているのです。
つまり、大阪の方が年間の入場者数で東京を上回っているといっても、
それは劇場の座席数と公演日数が大阪の方が多いからであり、もし東
京の公演の日数を大阪と同程度に増やせば、単純に計算すると東京の
観客数は約2万人(1050人×20日)増えますから、大阪の年間入場者
数を超える可能性があります。
ぼくは本当であれば、興行的に成功している東京での公演をもっと増や
せばよいのだと思いますが、なぜか増えません。東京での公演日数を増
やすことによって、年間入場者数が、東京の方が大阪よりも多くなること
を避けるために、わざと増やさないのではないかと勘ぐってしまいます。
少し話が横道にそれましたが、1日当たりの観客数では東京の方が2割
も多いという事実。文楽の関係者(技芸員の方も含めてですが)は、文楽
は「大阪の大衆芸能である」ということを強調することがよくありますが、
このような現状をみれば、もはや、文楽は大阪人の生活に密着した「大衆
芸能」であるとは言えないのではないかという気がします。
「文楽が大阪になければならない必然性があるのだろうか」という疑問を
いだく理由の二つ目。
現在の大阪府知事や大阪市長に限った話なのかもしれませんが、大阪
府や大阪市には、文楽を伝統芸能として保護・維持していくという熱意が
感じられないことです。
(④へ続く)
大阪の国立文楽劇場が731席。年間の公演日数は、大阪の方が東京よ
りも20日ほど多くなっています。
その結果、1日当たりの観客数は2005年~2007年の平均で、大阪が
約850人、東京が約1050人(前記深澤教授の論文より)と、大阪の方が
少ないにもかかわらず、年間の入場者数では大阪の方が多いということ
になっているのです。
つまり、大阪の方が年間の入場者数で東京を上回っているといっても、
それは劇場の座席数と公演日数が大阪の方が多いからであり、もし東
京の公演の日数を大阪と同程度に増やせば、単純に計算すると東京の
観客数は約2万人(1050人×20日)増えますから、大阪の年間入場者
数を超える可能性があります。
ぼくは本当であれば、興行的に成功している東京での公演をもっと増や
せばよいのだと思いますが、なぜか増えません。東京での公演日数を増
やすことによって、年間入場者数が、東京の方が大阪よりも多くなること
を避けるために、わざと増やさないのではないかと勘ぐってしまいます。
少し話が横道にそれましたが、1日当たりの観客数では東京の方が2割
も多いという事実。文楽の関係者(技芸員の方も含めてですが)は、文楽
は「大阪の大衆芸能である」ということを強調することがよくありますが、
このような現状をみれば、もはや、文楽は大阪人の生活に密着した「大衆
芸能」であるとは言えないのではないかという気がします。
「文楽が大阪になければならない必然性があるのだろうか」という疑問を
いだく理由の二つ目。
現在の大阪府知事や大阪市長に限った話なのかもしれませんが、大阪
府や大阪市には、文楽を伝統芸能として保護・維持していくという熱意が
感じられないことです。
(④へ続く)
by hiro_ngth_92
| 2013-01-10 18:16
| 歌舞伎と文楽